2020年11月26日

俳句日記 (636)


GoTo五輪になるのでしょうか

 新型コロナウイルス感染症がますます広がっている。西村担当相は11月25日に開かれた新型コロナウイルス対策分科会(会長尾身茂地域医療機能推進機構理事長)後の記者会見で危機感をあらわに「なんとかこの3週間で抑制していきたい。多くの皆さんのご協力をいただきたい」と訴えた。そして「これができずに感染がさらに広がり、次のステージ4になると緊急事態宣言が視野に入ってくる。あの春のような自粛ということになってくる。ぜひとものこの3週間で抑制したい。是非ご理解を」と、不要不急の外出自粛や飲食店の営業時間短縮などの協力を呼び掛けた。
 ところがである。この日の国会ではスガ首相は「GoToトラベルは4千万人が利用し、新型コロナの陽性になったのは180人だ。・・・(GoToが)地域経済を下支えしている」と言ってのけた。さらに来日中の王毅中国外相との会談で「東京オリンピック開催に日中両国の協力を」なんて言っている。
 GoToトラベルとかGoToイートなどという実に下らない、しかも新型コロナウイルスの拡散には最も好ましくない政策を推進しようと旗振り役を務めたのが官房長官時代のスガ首相だから、今更看板をはずすわけには行かないということなのだろう。しかし、GoToでウイルスが拡散したのは間違いない。確証があるわけではないが、感染者が地方にこれほど拡散してしまった現状を見れば、そう見做さざるを得ない。
 水牛自身はコロナウイルス感染症をそれほど怖がる必要は無いと思っている。だからどこにでも出かけて行く。ただし、用もないのに人混みに出かけることは控え、外出する時にはちゃんとマスクをして、手洗い、うがいを励行している。これでなんとか防禦できるのではないか。それでも罹患したら、それは以て瞑すべしである。
 旅行したいと思ったら出かければいい。その際、GoToを利用して半額で済ますことができるとあれば大いに利用すればいい。しかし「半額で行けるから」とか「半額で食べられるから」と、出かけたり、食べたりするさもしい根性は持たない方がいい。そうした自省だけでもコロナ感染はかなり防げる。
 ただし、為政者の姿勢としては現在のGoTo推奨は間違っていると思う。「経済を沈滞させてはいけない」という菅政権の行き方は一見まともだが、これは暴虎馮河と言うべき愚策である。新型コロナウイルスを封じ込める手立てが無い今、「感染者増加と言っても人口比にすれば大したことはない」と手綱をゆるめ、それが元になって第三次、第四次の感染者増大を招いたら、それによる日本経済への打撃は計り知れないからである。
 ましてや「東京五輪をコロナウイルスに打ち勝ったしるしとして開催する」と言うに至っては開いた口が塞がらない。
 かなり自制心の強い日本国民の日本国内での移動を活発にするGoToトラベルですら、コロナ新規感染者の増加を見た。これが全世界からの選手、観光客を呼び込むオリンピック大会の開催となれば、どのような状態になるだろう。防疫体制の不備な国からの入国者もある。新規感染者続発の国からの来訪者もある。それらを一々区別して隔離検査などはできない。一様に極めて緩やかな入国、検査体制にならざるを得ない。GoToによるコロナ拡散の比ではない。想像するだに恐ろしい。
  熱燗をもう一本と十日夜   酒呑洞
posted by 水牛 at 00:27| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月22日

俳句日記 (635)


照ノ富士よくやった

 大相撲11月場所は大方の予想通り大関貴景勝の優勝で幕を閉じた。しかし、本割の一番、千秋楽結びの一番で、単独トップの貴景勝を「仏壇返し」で仰向けにひっくり返した小結照ノ富士の勇姿に惚れ惚れした。これで13勝2敗の相星として優勝決定戦になったのだが、これはもう貴景勝の捨て身の寄りに為すところなく敗れた。こういう風に下からがむしゃらに押されると、照ノ富士には踏ん張る「膝力」が無い。両膝の靭帯断裂という重傷が完全に直っていないから、油の乗り切った大関と二番続けて取る力は残っていなかったのだ。
 水牛の見立てでは、照ノ富士の優勝の目は八日目に大栄翔に敗れ、九日目に小結高安に敗れたときに無くなっていた。同じ元大関ということで、高安は照ノ富士が相手となるとがむしゃらな力を発揮する。頭の回転が悪くてぶきっちょな高安だが、馬力だけはある。だから、うまくあしらっていけばいいのに、照ノ富士はどういうわけか高安戦となると相手に調子を合わせてしまう。今場所などまさにそれを絵に書いたような取り組みだった。これで照ノ富士の優勝の目は無くなったと思っていたから、優勝決定戦まで持ってきた本人の努力というか、「大関に返り咲きたい」という、一日一番にかける執念にはつくづく頭が下がる。
 照ノ富士は自身「もうそれほど長く相撲を取れるわけではないから」と言っている。両膝の具合はかなりひどいようで、十一日目くらいからは傍目にも膝が言うことを聞かなくなっていることが分かる。それをだましだまし、稽古によって周りの筋肉を増強し、支えている。
 前頭六枚目で九勝六敗の好成績を上げたベテランの宝富士が、勝ち越しを決めたときのインタビューで「照ノ富士と稽古を重ねた賜物です」と言っていた。同じ伊勢ヶ濱部屋の後輩照ノ富士の大関復帰を後押ししようと、宝富士は懸命に照ノ富士の稽古台になり、その結果、自分にも余得があったということだ。
 照ノ富士にとって今場所優勝出来きなかったことは負け惜しみではなく、大したことではない。それよりも13勝を上げたことが大きい。照ノ富士にとっての最大の目標が「大関返り咲き」である。これには三役で優勝にからむなどしながら、三場所で33勝上げることが必要とされている。先場所はいいところまで行きながら膝を悪化させて途中休場、ようやく8勝だった。小結になった今場所の13勝は大きい。来場所関脇で二桁の勝ち星をあげると、その次の場所(令和3年三月場所)で10勝以上で大関昇進条件をクリアできるのだ。
 もし次の初場所(令和3年1月)13勝以上で優勝を飾れば、その段階で大関復帰が実現するだろう。今からワクワクしている。
  夢そだつ十一月場所の照ノ富士
posted by 水牛 at 19:33| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月19日

俳句日記 (634)

日経俳句会で「冬めく」と「池普請」
水牛久々の好成績に浮かれ酔牛となり衰牛となる

 11月18日、内神田の日経広告研究所会議室で日経俳句会の令和2年11月例会(通算194回)が開かれた。前月から会議室の使用許可が出て対面で開催できるようになったのだが、この日の東京は新規コロナ感染者が493人とこれまでの最高記録となるなど、コロナ禍は第三波とも言われている。そのせいか出席は13人にとどまったが、投句参加者が多く、投句総数は101句になった。兼題は「冬めく」と「池普請」。この夜は高点句が輩出し4点以上が19句もあった。
「冬めく」
冬めくや卒寿猫背の庭いじり               大沢 反平(7点)
冬めける庭に忙しき雀たち                大澤 水牛(5点)
冬めくや脛カサカサと知らせけり             旙山 芳之(5点)
蒼穹をつらぬく尖塔冬めける               和泉田 守(4点)
冬めくや街ゆく人は無彩色                岩田 三代(4点)
ウポポイや海よ大地よ冬めきて              堤 てる夫(4点)
獣荒ぶはなしをちこち冬めけり              廣上 正市(4点)
「池普請」
池普請噛みつき亀にどよめけり              大澤 水牛(6点)
池普請水面の雲をよぎる鯉                久保田 操(5点)
主らしき鯉のひと跳ね池普請               嵐田 双歩(4点)
祭りなき年の賑ひ池普請                 中嶋 阿猿(4点)
鳥達も見守っている池普請                星川 水兎(4点)
泥水に数多の命池普請                  水口 弥生(4点)
「当季雑詠」
木枯の追ひ越して行く家路かな              嵐田 双歩(9点)
枯菊を焚くや残り香果つるまで              水口 弥生(8点)
これほどの葉があつたのか欅散る             大澤 水牛(6点)
老化です初冬一撃整形医                 大平 睦子(6点)
眼で笑ふマスク美人の枯葉掃き              石 昌魚(6点)
冬茜グラデーションに浮かぶ街              中村 迷哲(4点)
 水牛は最高点こそ取れなかったものの、投句三句が6点、6点、5点という久々の快挙。これはもうこのまま黙って帰るわけには行かない。「コロナ自粛」で皆さん二次会辞退で早々と散会の中、逃げ遅れた堤てる夫、星川水兎、金田水の三人をとっ捕まえて鎌倉河岸ビル地下の「野らぼー」へ繰り込んだ。ここの店長林(リン)さんは中国からの実習生が住み着いて永住権を得たのか、料理から日本酒のあれこれまで実に詳しい。「今日のお勧めは『鳳凰美田』と『鶴齢』です」と一升瓶を二本持ってきた。鳳凰美田は栃木の酒で、この純米吟醸は上品でとても美味いが、ちょっと甘い感じ。鶴齢は越後魚沼の300年以上続く老舗酒蔵の銘酒。この純米吟醸は辛口だが旨味があって、実にいい。「鶴齢にしよう」と衆議一決。ぐいぐい飲みはじめ、談論風発。水は焼酎お湯割り派だから、一升瓶の方は水牛4,てる夫、水兎3の割合で一時間半で飲み干し、10時半お開き。上機嫌で帰途についた。
 好事魔多し。午前零時頃、東横線反町駅に着いて改札を出て、公道に出る敷石の切れ目に足が引っ掛かりたたらを踏んだ途端に、腰にギクッと来た。久しく出なかったギックリ腰である。おかげで本19日は春陽子が誘ってくれた自由が丘の素晴らしそうな呑屋の一献をキャンセルして自粛の一日となった。(20.11.19.)
posted by 水牛 at 20:18| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月15日

俳句日記 (633)


酔吟会、10ヶ月ぶりの対面句会
出席13人、欠席投句6人で「冬浅し」「葱鮪」を詠む
春陽子またも「天」、次席に水、双歩、反平、水牛は浮揚せず

11月14日(土)午後1時から千代田区内神田の日経広告研究所会議室で酔吟会が開かれた。酔吟会は二ヶ月に一度の開催で、会場に集った参加者が昔ながらの短冊に記入して投句、欠席投句も含めた短冊を皆で手分けしてC記し、C記用紙を膝送りに回して選句、披講し、合評会に移る伝統的なやり方を守っている。これはなんとしてでも一同に会さねばできない句会である。しかし、コロナ騒ぎで会議室の使用が禁止されたために、1月に開いたのを最後に、10ヶ月間も「メール句会」でお茶を濁してきた。
 この日の兼題は「冬浅し」と「葱鮪」。これと雑詠を含め投句は5句。しかし、今回は欠席投句者が出席者の半数に及ぶ6名もあるので、選句は8句として句会を行った。その結果は、このところ日経俳句会、番長喜楽会、酔吟会を通して毎回高位を占めている玉田春陽子が今回も「人ひとり拾ひ枯野の路線バス」という雑詠句で7点を獲得してトップに立った。3点以上の高点句は以下のように13句あったが、いずれもなかなかの句である。
「冬浅し」
冬浅し待合室は仮眠室       金田 水(5点)
初冬の手櫛にからむ白髪かな    徳永 木葉(4点)
濡れ縁に動かぬ飛蝗冬浅し     高井 百子(3点)
冬浅しリースの並ぶ生花店     谷川 水馬(3点)
冬あさき巫女さんバイト募集中   玉田春陽子(3点)
冬浅し浅間麓の脱穀音       堤 てる夫(3点)
「葱鮪」
鬼平を語る女や葱鮪鍋       玉田春陽子(5点)
いきなりの別れ話を葱鮪鍋     嵐田 双歩(5点)
戌の日の水天宮や葱鮪鍋      谷川 水馬(3点)
葱鮪鍋飲まぬ夫が喰ふばかり    藤野十三妹(3点)
「当季雑詠」
人ひとり拾ひ枯野の路線バス    玉田春陽子(7点)
母さんに三度呼ばれて冬夕焼    大沢 反平(5点)
持ってけと呼ばれ手伝ふ大根引き  谷川 水馬(4点)
 水牛はこのところ家事多端で、しかも前日には来年初めに行う「七福神吟行」の下見で亀戸を経巡っていたため、落ち着いて句作する時間が取れなかった。それで、亀戸七福神めぐりをしながら作った句を推敲もせずに出した。
冬あさしもうひとがんばりと腰叩く  (1点)
胸の谷見せて女将の葱鮪鍋      (2点)
短日やホルモン焼の列につく     (1点)
菊花展スカイツリーを借景に     (2点)
小春日や久寿餅食べて福めぐり    (0点)
 というさんざんの結果だったが、自分ではそれほど悪い句だとは思っていない。
(20.11.15.)
posted by 水牛 at 23:16| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月10日

俳句日記 (632)


いいぞ照ノ富士

 11月場所三日目の十日、横綱に最も近いと囃されている期待の大関朝乃山が休場してしまった。昨日、小結照ノ富士に子供扱いされ上手投げで叩き付けられてしまったショックから立ち直れなかったに違いない。初日に霧馬山に勝った相撲で右肩の筋肉を痛めたのが休場の理由ということだが、それは休む理由に出した診断書上の所見に過ぎないのではないか。昨日の照ノ富士との一戦では膏薬も貼らず、至極普通に取っていたのだ。
 ただ、照ノ富士に投げられた後引き下がった支度部屋で、両手を両膝にあてがったままの姿勢で暫時動かなかったというレポートがNHKの放送で為されていたのを考えると、この前場所のビデオを巻戻したような不様な敗戦のショックが余りにも大きかったのだろう。
 横綱と大関は、下位の力士に二場所連続で負けること、特に同じ技で負けることを最大の恥とする。それなのに朝乃山は照ノ富士に三場所連続で負けてしまったのである。落ち込むのも無理はない。
 しかし、朝乃山には何とか気を取り直して挽回して欲しいと思う。水牛は貴景勝、正代と合わせた三大関の中で、朝乃山こそ看板横綱として大相撲を背負って行く役者の一番手だと思っている。その実力、容姿、風格、取口いずれも申し分ない。問題は少し気が弱いような感じがある点だ。この辺、何を言われようと全く意に介さない白鵬の爪の垢を煎じて飲んだらいい。
 さて、心ならずも今回敵役になってしまった感じの照ノ富士だが、三日目の今日の相手は苦手とする阿武咲(前頭二枚目)。身体を小さく丸めて下から突き上げるように押して来る取り口で、膝の悪い照ノ富士に取っては最もやりにくい相手で、これまで二連敗している。これが前半戦の山場だなと思っていたのだが、立ち上がると落ち着いて相手の押しを堪え、踏み止まると右腕で相手の左を抱え、ぐぐっと寄って押し出した。
 新大関の正代は小結に返って来た元大関高安の珍しい発奮を受け、猛烈な突き合い、引き合い、押し合いの挙げ句に辛うじて勝ちを収めた。もう一人の大関貴景勝は下半身の安定度抜群で霧馬山の寄りを凌いで三連勝。
 三日目を終わった段階では大関貴景勝の安定度が光っているが、水牛はこの力士を買っていない。ちゃらんぽらんな取り方で、人間的にも問題があるのではないかと思われるような感じがする。何かの拍子に思わぬ負けを喫するとガラガラ崩れてしまうタイプである。その点、のほほん正代が、一日も早く平常心を取り戻し、本来のどんと胸を出してぶつかって行く相撲を取れるようになれば有望だ。
 それより何より、照ノ富士の優勝が有望になってきたのではないか。両膝の靱帯断裂を経験し、今も直りきっていない。先場所も十日目あたり、はっきりと「痛みが出始めたな」というのが傍目にも分かった。だから今場所は膝が言うことを聞く中盤戦までに貴景勝、正代、関脇御嶽海との対戦を済ませたい。この三人との対戦を二勝一敗で乗り切れれば優勝できるのではないか。
 「そう長く相撲を取っていられそうもないと思う。この三場所が大事と考えて一日一番取っている」。この言や良し。今場所含めて三場所で33勝上げて、「奇跡の大関復活」を実現してほしい。
  四股を踏む包帯だらけ照ノ富士
posted by 水牛 at 22:22| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月08日

俳句日記 (631)


大相撲11月場所、三大関元気で活気

 大相撲九州場所が両国に移されて、11月8日(日)、初日が始まった。横綱鶴竜と白鵬が初日から休場でガッカリしたのだが、新大関正代を加えた三大関が元気なので、もう死体になった横綱二人が出なくても全く関係無い、活気のある場所になりそうだ。それに加えて三役に復帰した小結照ノ富士が力のある輝を子供扱いで寄り切った横綱相撲を見せてくれたので、晩酌が殊の外美味かった。
 照ノ富士は小結になった。今日の相手は輝、上背もあり力もあり、前頭上位で安定した力を見せるようになってきた。ただし、立合に逃げたり躱したり術策を弄する力士ではないから、照ノ富士にしてみれば固くなる初日の相手としては余裕を持ってぶつかれるから取りやすい。この点とても恵まれた。予想通り立合、ぶつかり合って素早く相手の右肘をぐっと抱え込み、その勢いで左を深く差して相手の右腕を高く上げるようにして殺し、右手で輝の左腕を押っつけて、そのまま寄り、難なく寄り切った。まさに余裕綽々の取り口だった。これで明日二日目の大関朝乃山戦が楽しみになった。
 これに対して新大関正代の相手は何をするか分からない小兵の若隆景。先場所好成績で前頭筆頭に上がって来た新鋭である。正代は、コロナ禍でいろいろな儀式や御祝儀宴会を自粛したとは言っても、新大関ともなればやはりあれこれ忙しい。その初日の相手としては厄介な相手だ。案の定、立ち上がるなり振りまわされ、つんのめりそうになってなんとか持ちこたえたが、潜り込まれ、後は防戦一方。下がりながら土俵際で打った窮余の突き落としで、物言いのつく勝負を何とかものにした。
 朝乃山は東前頭筆頭の霧馬山が相手。これは力も技もあるモンゴル力士だが、先々場所痛めた肩や腕が完全には癒えていないようで、立合からしてもう一つ迫力が感じられない。立ち上がるや朝乃山得意の右差しになって万全の寄り切り。
 相撲評論家や新聞では今場所優勝候補筆頭の大関貴景勝は元大関で小結まで上がって来た高安が相手。しかし、どんとぶつかって押して行く貴景勝にとって、立合に芸の無い高安は取りやすい相手だ。予想通り、なんなく押し出した。しかし、貴景勝は出たとこ勝負のお天気相撲だから、初日が盤石だったからと言って、このまま続くとは思えない。
 こうしてみると、水牛の予想は、初日に冷汗をかいた正代を二日目から落ち着いて相撲を取ることを前提に優勝候補の筆頭に上げる。次いで朝乃山、そして両膝の具合如何だが照ノ富士が三番手ではないだろうか。
 さて、三場所連続休場の横綱だが、鶴竜は恐らくもうだめだろう。来場所(令和3年1月)に出て、途中休場─引退ということになるのではないか。真面目な相撲取で好感が持てる力士だから、何とかそれまでに日本国籍が取れて年寄として相撲界に残る道が開ければいいと思う。もう一人の横綱白鵬は今場所前の合同稽古で正代や関脇御嶽海を子供をあしらうようにぶっ倒していたところからすれば、今場所、十分に相撲が取れるはずだった。それを鶴竜が「休場」表明すると、じゃあオレもと狡休みである。何としてでも横綱の地位に留まり、来年の東京オリンピックの儀式で予定されていると言われている「横綱土俵入り」をやりたいらしい。既に数々の記録を塗り替え、不世出の横綱の尊称を獲得しているのだから、引き際を綺麗にした方が良いと思うのだが、そこが日本人とは考え方が違うようだ。
 アメリカにも負けても負けたと言わない大統領が出て来た。中国もロシアも独裁権力を振るう首領がふんぞり返っている。
 大相撲は古式豊かに美意識の塊で在り続けてほしいのだが・・・。
  立冬の隅田の風に触れ太鼓   酒呑洞
(20.11.08)
posted by 水牛 at 21:23| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月04日

俳句日記 (630)


七歩蛇

 ようやく膝の痛みも取れて、天気もまずまず落ち着き、気に掛かっていた庭掃除が大分捗った。一段落ついたので、山の神と近所の赤尾内科へ行ってインフルエンザの予防注射をしてから、新倉酒店へ行って清酒を6升買う。これが水牛の一ヵ月の主燃料である。あとはあれこれ見つくろった焼酎、泡盛、ビール、ウイスキー、ウオッカなどが加わる。
 「スイギュウさんが来て下さるとウチは花が咲いたよう」などと大げさに喜んでくれるお上さんが、「ところで、これ問屋が置いてったんですけどお試し下さい。でもナナホヘビなんて聞いた事の無い気持悪い名前なんですけど」と二合瓶をくれた。「七歩蛇」と印刷した小さな紙切れが貼り付けてある。醸造所の名前も何も無い。内輪の関係者だけに配る試飲用らしい。
 早速飲んでみた。利き酒用の蛇の目のぐい呑みに注ぐと、やや黄色みを帯びた酒で、好ましい香りが立つ。含むと甘辛半ばの程よい飲み口で、口中にほのかな吟醸香が立ち、まったりとした味わい。それでいて喉越しが良く、しつこくない。古酒のような風情もある。
 これはいい酒だなあと感じ入った。しかし、試供品の瓶には「七歩蛇」とだけで、造り酒屋の名前も何も無い。戦前からある酒屋のお上さんが「お酒だか焼酎だか」なんぞと言ってた位だから、どこか地方の小さな醸造所の酒なのだろう。そこで、ネットに「七歩蛇」と入れてみた。
 熊本県小国町に河津酒造という潰れかけた造り酒屋があり、その三代目でIT企業に就職していた青年が一念発起して脱サラし故郷へ帰って再興、苦心の末に「昔ながらの方法」で醸した酒らしい。
 「七歩蛇(しちほだ)」という奇妙な名前は、わが国の妖怪説話集の先駆けと言われる浅井了意(生年不詳、元禄4年・1691年沒)の「御伽婢子(おとぎぼうこ)」(宝永6年・1666年刊行)に出て来る妖蛇から取ったものらしい。この蛇は体長わずか4寸(12センチ)だが全身紅色でウロコの間は金色に輝き、四つ足を持つ龍のような姿で、これに噛まれると7歩歩いてばったり絶命してしまうという。
 昭和20年の敗戦から30年代初め、「当たればお陀仏」というメチルアルコール混入のバクダンと称する焼酎や、澱粉を取ったあとの芋カスを発酵して搾り蒸留した臭い焼酎を工業用アルコールと水で増量した焼酎が出回った。
 こういう、飲んだ後は野となれ山となれという毒酒が横行していた時代には、「七歩蛇」という名前の酒などシャレにならない。そんな混乱時代とは無縁の新進気鋭の河津酒造三代目は「得も言われぬ銘酒で、これに酔えば七歩のうちに気を失うほどの心地になる」と、自信満々こういう珍奇な名前を付けたらしい。
 恵まれた時代ならではの命名だなあと感じ入った。ともかく、銘酒「七歩蛇」には感心したのだが、値段を聞いて驚いた。一升瓶(1.8リットル)が1万1千円だという。
 しかし、これに限らず、近ごろは銘酒造り競争とでも言うのか、「そこまでやるか」という酒が次々に出て来る。米を三割まで削ってしまって「純粋な味と香り」を出した大吟醸一升3万円という酒を味わったことがある。こういうのは美味いことはうまいが、「勿体ない、畏れ多い」感じが先に立って、飲んでいて落ち着かない。丹精込めて作られた米の七割を削り落としてしまうのである。これは大地の神、酒神を冒涜する邪道である。日本酒というものは、やはり「米の味」、言い換えれば米の持つ雑味をほのかに感じさせる純米酒が一番旨い。水牛のような酒中人にとっては、一升三千円止まりの「酒らしい酒」が本当に嬉しい。
   長き夜を程よき燗の純米酒   酒呑洞
posted by 水牛 at 22:39| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月03日

俳句日記 (629)


コロナにめげず

 11月2日(月)夜、東京・九段下の千代田区生涯学習館で第178回番町喜楽会が開かれた。もう慣れっこになったマスクをつけ、入館時に検温し、手をアルコール消毒して、会議室は詰めれば6,70人入れる広さだが、出席者16人がばらばらと間隔をとって着席する。こうした“コロナ対応”がみんなすっかり身についてしまったようで、なんの違和感も無くスーズに行われる。結構なことと言えば言えるが、少し哀しい。
 今宵の句会の兼題は「初冬」と「障子」。初冬は「はつふゆ」と詠むのが伝統的なのだが、現代俳句では「しょとう」という硬質で歯切れのいい詠み方が人気を呼んでいる。「障子」は最早古い建具になってしまい、「我が家にはありません」と言う人もかなり居る。「障子が冬の季語だということを知りませんでした」と言う人も居る。というわけで今回の兼題はいささか古すぎる感じで、会員の中には戸惑った向きもあったようだ。そのせいか、今回はこれはと言うような句が少なく、言い古された言葉を用いたり、誰もが思いつくありきたりの場面を詠んだ句が高点を得る低調な句会に終わった。兼題別の高点句は以下のようである。
「初冬」
へそ見せて逆上がりの子冬浅し     木葉
平積みの手帳家計簿冬初め       水馬
老の背の膨らんでいる冬初め      而云
ごみ出しの堅きサンダル冬始め     命水
「障子」
にこにこと障子の穴に指二歳      光迷
紙・糊・刷毛みんなアマゾン障子張る  光迷
「雑詠」
少年の素振りひたすら冬銀河      春陽子
 これらの句はそれぞれそれなりに格好が着いている。俳句雑誌や新聞俳壇などでは拾って貰える水準である。しかし、「ごみ出しの堅きサンダル」が多少の新鮮味を抱かせる程度で、後はどれもこれもどこかで見たような感じの句ばかりである。かくて今宵は収穫ゼロで、がっかりして、終わってから丸屋で焼酎蕎麦湯割りをぐびぐび飲んで気持を紛らわせた。
 かく申す水牛句も全くの出来損ないで、
雑煮用小松菜を蒔く冬はじめ
やはやはと障子明かりや手打蕎麦
婆猫の起きよと鳴けり朝時雨
 といった水準以下の句ばかりであったが、少なくとも「拵えごと」の句では無いところに救いがあるように思っている。言い換えれば、「日記替わり」とでも言うべき句である。この道筋を辿ることも良い俳句を作る一つの方法だと思っている。(20.11.03.)
posted by 水牛 at 00:55| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月26日

俳句日記 (628)


照ノ富士晴れて三役返り咲き

 大相撲11月場所(コロナ禍により会場を福岡から両国国技館に変えて、11月8日初日)の新番付が10月26日に発表され、予想通り照ノ富士が小結になった。丸三年、17場所ぶりの三役復帰だ。元大関の高安も4場所ぶりに小結に戻った。活きのいい押し相撲の隆の勝が関脇になり、新大関正代と闘志をかき立てる朝乃山、隆景勝ともども、今場所は三役陣が充実して面白くなりそうだ。
 白鵬、鶴竜の両横綱はどうであろうか。白鵬は両国国技館で行われた合同稽古に出て来て、新大関正代、隆景勝、関脇御嶽海をコテンパンにやっつけて、膝の故障全快をアピールし、「オレが第一人者」とふんぞり返った。しかし、稽古場と本場所は全く違う。大相撲の看板を背負っている横綱が鼻息荒く立ちはだかる稽古土俵で、本気になって勝ち負けを争う力士は居ない。だから、ここで19勝1敗だの20勝何敗だのと言っても、それは目安にはならない。むしろ、白鵬は場所前半で当たる前頭上位力士に思わぬ負けを喫して優勝の目が無くなるとまたぞろ「お休み」になってしまう恐れがある。もう一人の横綱鶴竜はもはや体力的に限界を迎えているようで、あと二週間でちゃんと相撲が取れる身体を取り戻せるかどうかといった塩梅のようだ。
 こういう情勢だから、応援している照ノ富士にとっては大関復帰への足固めのチャンスだ。優勝した先々場所、ようやく8勝した先場所を見るにつけ、古傷の膝はまだまだ十分ではなさそうだ。終盤になると辛くなって来るのが傍目にも分かる。
 大関昇進の目安は直近三場所で32勝上げることだ。とすれば、今場所は疲れの出る前の十日目までをなんとか頑張って8勝か9勝稼ぎ、残る五日間で1、2勝して「10勝」、願わくば「11勝」することだ。
 もう一人、応援しているのは9場所ぶりに幕内に戻って来た千代の国。身長182センチ、体重146キロと小ぶりで筋肉質の地味な力士だが、地力がある。しかし、「腕立伏せ1千回」などと無茶苦茶な訓練が有名で、本場所の取り口も大技を仕掛けたり無理をするからしばしば大怪我して休場のやむなきに至る。その結果、幕内から三段目まで落ちてまた幕内に復帰すること二回という奇妙な記録保持者になった。秋場所は十両下位だったが14勝1敗で優勝し、幕内に返り咲いた。芭蕉の故郷伊賀上野の出身ということもあって、親近感を抱いている。
  耳奥に櫓太鼓や冬はじめ   酒呑洞   (20.10.26.)
posted by 水牛 at 21:02| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月25日

俳句日記 (627)


長引くコロナ禍

 菅首相は「コロナウイルスに打ち勝った証しとして東京オリンピックを行う」と折あるごとに唱えている。そして「コロナ蔓延を抑えながら経済の活性化を図る」と言いつつ、どちらかと言うと経済活動活性化に軸足を置いた政策遂行をはかろうとしている。コロナコロナで縮こまって日本経済が足腰立たなくなってはそれこそ大変だから、「経済活性化」に舵を切るのは間違ってはいないと思う。ただし、コロナ対策が不十分と思われる諸外国からの人員受け入れを安易に増やすことは良くない。
 幸い日本国内は今の所コロナ蔓延をかなりの程度押さえ込んでいる。10月24日現在で国内感染者累計は95478人、死者1713人で、先進国中で圧倒的に少ない。これはアベ前ソーリのお蔭でも無く、スガ現ソーリの努力でも無い。日本国民の衛生観念の高さと、特有の“マジメ”さのお蔭である。大昔から神社仏閣の境内には御手洗があり、お参りする前には手を洗い口を漱ぐ習慣が根付いていた。外出から戻れば手洗い・うがいというのはごく当たり前であった。そして、家に上がるには玄関で履き物を脱ぐことが当然である。「マスクをしましょう」と言われれば素直に従う従順さも持ち合わせている。こうした習慣が悪疫流行を押し止めるのに大いに役立っている。
 ところが、諸外国を見渡すと今や啞然呆然とするコロナ情勢である。「コロナ自粛」から解き放たれ自由気ままに振る舞った咎めが出て、第二波第三波の蔓延状態に陥っている。日本時間10月24日現在で、米国は感染者累計850万人、死者22万4千人、インドは感染者776万人、ブラジル535万人、ロシア148万人、スペイン104万人、フランス100万人、英国78万人、イタリア48万人と、物凄い数に上っている。しかもこの所、米国では一日8万人、スペイン、イタリア、英国、フランスなどは一日2万人の新規感染者が出ているというのだ。日本の一日六百数十人とはケタが違う。
 こうして、国内の蔓延を何とか抑えている日本がオリンピックを開くとどうなるか。菅内閣は来年の東京オリンピックには選手・役員団はもちろん、一般観客の入国も自由に認める方針を打ち出している。「五輪応援を目的とする人たち」と言っているが、これはもう言葉の文みたいなもので、一般観光客受け入れ自由とほぼ変わらない。
 来年夏までに果たしてコロナウイルスのうごめきが終息するのか。あるいはコロナ防除に有効でかつ副作用の無いワクチン接種が全国民に滞りなく行えるのか。
 大正時代のスペイン風邪の猛威が納まるのに三年かかっていることを考えると、この新型ウイルスが一年半で大人しくなると考えるのは楽観的過ぎるのではないか。オリンピックでガイジン観光客が増えて多大な外貨収入が得られることは確かだが、ウイルスをまとった有象無象がわんさか押し寄せて、日本全国コロナ禍に見舞われたのでは元も子もない。
  疫神の居座るままに秋深む   酒呑洞
posted by 水牛 at 00:33| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする