2018年02月11日

俳句にならない日記 (9)


公立小学生にブランド制服

 東京・銀座にある創立140周年の中央区立泰明小学校が、4月入学の新一年生の着用する標準服(制服)をイタリアの高級ブランド、アルマーニのデザインによるものに決めて物議を醸している。
 何しろ現行の標準服が上着、ズボン(女児はスカート)、シャツ(同ブラウス)、帽子の一式で男児1万7千円、女児1万9千円なのに対して、アルマーニは4万円を超えてしまう。「任意」とされるベスト、セーター、靴下、バッグを含めると9万円近くになる。保護者の一部からは「あまりにも高い」という不満の声も出て、ついに衆議院予算員会で野党議員から「公立小学校でこうしたことはおかしいのではないか」という質問が出るという一幕まではさまる事態になった。
 ブランド制服の採用を決めたのは和田利次校長(62)で、学校内はもとより保護者などとも事前相談をせず、一人で話を進め、決定したという。記者会見でも、「これが泰明小らしさを表す」「泰明小の父兄ならこれくらい出せる」と悪びれた風もなく言ってのけた。
 この小学校は名門で、一学年60名の少数精鋭教育。地元銀座には子供が少ないこともあって、中央区内在住なら希望すれば入学出来る「特認校」になっている。希望者が多く抽選もかなりの倍率になるという。卒業するとほぼ全員が有名私立中学に入るというから、まずは恵まれた家庭の子女の通う小学校で、校長の言うように、9万円の制服など屁とも思わない家庭がほとんどなのだろう。しかし、やはり「公立」小学校である。その学区域に住まうさほど金持ちではない家庭の子供だっているのではなかろうか。
 高いか安いか、負担できるか否かはさておき、問題はなぜ小学生の制服を高級ブランドにしなければいけないのか、ということである。それについて和田校長が昨年11月17日付けで、今年4月に子供を入学させることが決まった親に宛てて出した「平成30年度からの標準服の変更について」という文書を読んで驚いた。ネットに出ていた全文を読んだのだが、この校長の何とも救いようのない事大主義、選民思想にやり切れない思いを抱いた。5千字に及ぶ長大な手紙だが、名門校の校長としてはどうかなと思われるような、その昔の学生運動のアジ演説のような稚拙な文章である。
 泰明小学校の素晴らしさを縷々述べ、生徒と保護者にはその意識が足りないのではないかと不満を綴った後、「泰明小学校は銀座の街と共に歩んできた」として、「銀座の街のブランドと泰明ブランドが合わさったときに、もしかしたら、潜在意識として、学校と子供らと、街とが一体化するのではないかと、また銀座にある学校らしさも生まれるのではないかと考え、アルマーニ社デザインによる標準服への移行を決めました」と無茶苦茶に飛躍した「決定理由」を書いている。そして、「ビジュアルアイデンティティーという概念があります。・・・視覚的な同一性と申し上げたらよいでしょうか。泰明の標準服を身につけているという潜在意識が、学校集団への同一性を育み、この集団がよい集団であってほしい、よりよい自分であるためによい集団にしなければならないという、スクールアイデンティティーに昇華していくのだと考えます」とも述べている。とどの詰まりは高級ブランドの制服を身につけることによって、泰明小学校生だという自覚と誇り、愛校心も生まれると言うのだ。
 こういう杜撰な論理展開しかできない人が名門小学校の校長を5年間の長きにわたって務めているというのが驚きだし、こうしたことを平然と容認している教育委員会というのもどうかしているのではないかと思う。そして、この問題に関する質問を受けて答弁に立った麻生副総理は、「高いといえば高いんだろうが・・・あなた(質問者)の背広がいくらなんだか知らないが・・」とトンチンカンなことを言うのであった。
 まあそういった大人の理屈は別として、泰明小学校に4月から通う子どもたちの身になって考えると、これはまた実に可哀想だなあと思う。なんたってアルマーニだ。どろんこ遊びなんてとんでもない。滑り台で滑るのもままならない。背丈が急に伸びるのも気になるというのでは、はてさて校長センセイどうしたものでしょう。
posted by 水牛 at 01:19| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする