2019年06月05日

俳句日記 (493)

難解季語 (21)

ぼうしゅ(芒種)

 二十四節気の一つで、旧暦五月の節。立夏から三十日後、芒種の十五日後が夏至ということになる。現在のカレンダーに当てはめると六月六日頃になる。
 「芒種」とは禾(のぎ)のある草のことで、代表的な作物が稲。その稲の苗を植え付ける「田植」という一年で最も大切な行事、農作業が始まる時期を示している。農業が国の基本であった時代には「芒種」は重要な日として誰もが知っていたが、今では「ぼうしゅ」と聞かされて即座に「芒種」という字を思い浮かべられる人はほとんど居ないだろう。
 「芒種」もまた立派な季語なのだが、この十五日前の「小満」と並んで、二十四節気の中では最も人気の無い季語に落ちぶれてしまい、近ごろは芒種を詠んだ句に全くお目に掛からなくなった。入梅も間近で、連日曇りがちの天気。何とも気分が優れない日々が続き、「芒種」と聞いてもさしたる感興を催さないのもむべなるかなということであろう。
 しかし、「芒種」という少々固い響きの季語を据えると、何となくこの頃の空気を感じ取ることが出来、これに何を取り合わせてもそれらしい句になる。こういう季語を発掘して詠むのも亦楽しからずやである。まさに「季語と遊ぶ」気分になる。

  ささやくは芒種の庭の番鳩(つがいばと)  石原 八束
  芒種なり水盤に粟蒔くとせむ        草間 時彦
  朝粥や芒種の雨がみづうみに        秋山 幹生

  梅漬けの桶や重石や芒種かな        酒呑洞水牛
posted by 水牛 at 18:39| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする