2020年09月27日

俳句日記 (620)


秋場所は面白かった

 大相撲秋場所は9月27日(日)、関脇正代の13勝2敗の優勝で幕を閉じた。白鵬、鶴竜という、ちょっと調子が悪いと休場し、横綱に居座り続ける汚い二人が初日から居らず、却ってすっきりとして、大関以下の力士が目一杯活躍して、久しぶりに生き生きした場所になった。
 初日が始まった9月13日、この欄で今場所は正代と高安が良さそうだと書いた。結果がその通りになったのには我ながら驚いている。プロの相撲評論家や記者は一番手に朝乃山を挙げ、二番手を貴景勝としていたのだが、私は朝乃山はばたばた取っているうちに自分の身体を軽くしてしまうというか、相手の体勢に寄り添ってしまうような所があって、もう一つ盤石ではない。貴景勝は楽に勝とうと安易に引いてしまう癖が抜けないし、お天気相撲だ。そこへ行くと、正代は今年初場所から人が変わったようにしっかりして来た。今場所こそ初優勝のチャンスだと見ていた。また高安は怪我が大分良くなったようで、初日の相撲を見た限りでは、自分の得意の態勢になれるまで落ち着いて相撲が取れるようになっていると見たのだ。しかし、高安はどう見てもアタマが良くないようだ。相手の誘いに乗ってしまいみすみす勝つチャンスをふいにしてしまう甘い取り口が見える。それでも10勝5敗の成績を残せたから、来場所はうまくすると小結になれるかも知れない。
 贔屓の照ノ富士は8勝4敗3休み。明らかに先場所の幕尻優勝で頑張り過ぎた後遺症で、初日、二日目と連敗した。それでもその後は地力を発揮して7連勝し、優勝候補の一角にいた。しかし、両膝がガタガタになっていることが明かで、十日目同じ前頭筆頭の隆の勝に押し込まれ3敗、翌日、妙義龍に勝って勝ち越しを決めると、翌十二日目やはり押し相撲の阿武咲に押されて4敗目。優勝戦線から脱落すると精根尽き果てたのだろう、休場した。
 しかし、よく頑張った。幕尻優勝あるいは幕尻近くで大勝ちした力士はその翌場所は散々な成績に終わるのが通例である。2000年春場所に13勝2敗で幕尻優勝した貴闘力は翌場所は2勝13敗だった。今年2020年初場所14勝1敗で幕尻優勝を果たした徳勝龍は春場所では4勝11敗の大負けである。それを照ノ富士は上位と総当たりの前頭筆頭の地位で、初日二日と連敗した後、勇猛心を奮い立たせ、三日目大関朝乃山、四日目には今場所の優勝力士正代を屠っての勝ち越しを遂げたのだ。
 優勝した正代が大関に上り、大きく負け越した大栄翔が落ちるから関脇の座が二つ空く。一つは隆の勝と決まったようなものだが、もしかすると照ノ富士は8勝でも関脇に登れるかも知れない。ただ関脇の座が二つ空くとは言っても、今場所は異例の三関脇で、もう一人の関脇御嶽海が8勝7敗と踏み止まったから、実質的には空席は一つ。照ノ富士が9勝していればなれただろうが、8勝止まりでは常識的に「小結昇進」というところであろう。それでも幕内復帰二場所で三役に戻れるというのは上出来だ。
 しかし、すぐに11月場所がやって来る。それまでに膝の状態が少しでも良くなっていると良いのだが。
  肥後力士初優勝の涙かな        (20.09.27.)
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2020年09月21日

俳句日記 (619)


敬老の日

 9月21日は「敬老の日」としてカレンダーに赤い印が付いている。一昨日の土曜日、昨日の日曜日、明日22日の秋分の日と合わせ4連休を構成している。昔は敬老の日は9月15日と決まっていたのだが、何時の頃からか9月第3日曜日の翌月曜日にされてしまった。こうすると三連休、年によっては秋分の日も繋がって4連休が出来て、旅行需要を増やし、外出する人が増えて、消費景気を煽る効果があるのだという。こうなると年寄りを敬うなんていう趣旨は雲散霧消し、単に休日の名前に辛うじて「敬老」が残ったという感じである。
 まあそんなことを言うのも年寄りの繰り言。心地良く生かしてもらっていることに感謝し、町内会から配られた文明堂の三笠山を有難く頂戴して渋茶を啜っている。
 とにかく日本の高齢化は物凄い速度で進んでいる。老人の日に合わせて総務省が発表した令和2年人口推計の新聞記事を見て改めて粛然とした。国の基準では65才以上が「老人」になるようだが、その65才以上が昨年より30万人増えて3617万人になったという。総人口は昨年より29万人減って1億2586万人だから、老人比率は29%になる。イタリーの23%を断然引き離して、日本は世界に冠たる老人国になったというのである。この傾向は今後も益々顕著で、2040年になると日本の総人口の35%が65才以上になるのだそうだ。
 こうなると65才で「お仕事やーめた」というわけにはいかなくなる。確かに元気な老人が増えているから、65才で一線から退くなんてことは止した方がいい。現に65才以上の労働力を有効活用(つまりは安月給ですむということだが)している企業も増えており、令和2年では65才以上の就業者が前年より30万人も増えて892万人になっているという。全就労人口の16%にもなる。
 まあ身体を動かせる間は精一杯動かした方がいいのだから、老人社員も大いに結構である。しかし、それが嵩じて、「老人も働け」という強制になり、年金減額などによって高齢でも働かざるを得ない社会が来たりするのが恐い。「元気なくせに俳句なんかつぶやいて日がな一日何にもしない」と老人を攻撃するような社会にはして欲しくないものだ。
 五畳という変形板の間の書斎には15才8ヵ月の白黒ブチ猫チビが同居している。南側の机の上には幅半間、奥行20センチばかりの物入れが硝子窓の框と同じ高さに据えてある。チビはここがお気に入りで、年中ここで寝ている。しかしここに上るにはまず、机に飛び乗らなくてならない。机は高さ70センチ。チビは無造作にひょいと垂直に飛び乗る。
 「さすがは猫だなあ」と感心していたのだが、今年に入って、そうは行かなくなって来た。少し離れた所で身構え、反動を付けて「よいしょっ」という感じで跳び上がる様になった。それがここへ来て、失敗するようになった。前脚がかかっただけで、ずり落ちたりするようになった。すると、恥ずかしいのか、イソップの狐みたいに「そんな所、上りたくなかったのよ」といった顔つきで書斎を出て行ってしまう。思わず笑ってしまう。そうしたら暫くしてまたやって来た。ミャアミャアと鳴いては机の上の方を仰ぎ見ている。そばの書棚の一段目に足を掛けて、それを踏み台にしてと、やってみるが、うまくいかない。半ノラだったせいもあって、抱っこされるのが嫌いなのに、ついには「乗せてくれ」と擦り寄って来た。乗せてやると、台の上の古タオルをふんふん嗅いで、ごろりと横になるなり寝てしまった。
 行きつけの獣医に聞いたことがあるが、猫や犬や鶏などは生後1年間は1ヵ月が人間の1年相当で成長し、その後は1年が人間の5歳相当くらいだという。とするとチビはもう80を越したお婆さんだ。「なんだ、お前はいつの間にかオレと同い年になっちゃったんだな、足を踏み外すのも無理はないなあ」とからかった。無論聞こえぬふりである。
  婆猫のじっと見つめる鰯雲
  敬老日などいらないよなあ欠伸猫      (20.09.21.)
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2020年09月14日

俳句にならない日記 (33)


お先真っ暗

 予想はしていたが14日に自民党総裁に選ばれた菅義偉(すが・よしひで)という人物は矮小な人物のようである。その風貌体躯を言うのではなく、人間の大きさ、考え方が矮小だというのである。
 なんと、総裁選出後の第一声が「国民の皆さんのために働く内閣を作る」というのである。それじゃこれまでの内閣は何だったのかということになる。人の片言隻句を捉えて揚げ足を取るのは卑しい行為だが、この演説にはヤジを飛ばしたくなる。自民党総裁イコール内閣総理大臣なのだから、その第一声ともなれば、自分でもよく練り直したであろうし、お付きの連中が再三練った案文であるに違いない。それがこれである。
 その上、一から十まで「安倍総理の」おやりになったことをなぞっていくと言う。国民はアベノミクスの破綻をはじめとして、安倍政権の失政にノーを突きつけていたのである。にもかかわらずそういうことを平気で言うのは余程の魂胆があるのだろう。二階という己を利する事のみに汲々たる人物を幹事長に据え置き、安倍政権の癌ともいうべき麻生某を「かけがえのない人物」として副総理に据え置く。「国民のために働かなかった」政権の中枢をそのまま押し戴くというのである。これはどう見ても何らかの魂胆がひそんでいる。
 とにもかくにも棚ぼた式に総理総裁の座に座ることができた。対抗馬が石破、岸田というどうにもしょうがない人物だったが故に、党内大多数が雪崩を打つように票を入れてくれてトップの座を射止めたが、元々、何の地盤血縁も無く、時の勢いでのし上がった地位であることは自分自身が一番よく知っている。
 取り敢えずは「安倍路線継承」を唱え、麻生、二階を据え置き、内閣には各派閥均衡の顔ぶれを揃えて、そっと出で立つ。そして、機を見て解散総選挙、であろう。年内総選挙であれば、菅自民党は圧勝する。そして本格的な菅政権が出来ると、安倍政権以上の“金の亡者政治”がまかり通る世の中になりそうだ。これは確たる証拠があっての予測ではないのだが、GoToキャンペーンを強引に進める手法、カジノ・リゾート推進策など、官房長官時代から見え隠れしていた、この人の“黄金色に惹かれる”姿勢からの危惧である。  (2020.09.14.)
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2020年09月13日

俳句日記 (618)


残念、照ノ富士

 秋場所が始まった。先場所、奇跡の幕尻優勝を遂げて前頭筆頭に上がり、“返り大関”への第一歩を踏み出した照ノ富士。初日の相手は最も苦手とする押し相撲の大関貴景勝。昨日予想した悪い方の予想が当たって、呆気なく負けてしまった。
 照ノ富士は両膝がガタガタになっている。それをサポーターとぐるぐる巻の包帯で支えて相撲を取っている。前傾姿勢で前へ前へと出て行く相撲では怪力を発揮し、技も使える。しかし、立合に一気に押し込まれ、一歩二歩後退すると、途端に弱点が現れる。相手の圧力をぐっと堪える力が両膝に無いのだ。恐らく、反り身になって堪えると両膝に力がかかり、痛みが走るのではないか。
 今日の唯一の勝機は、素早く立って一歩踏み込み、右でも左でもいいから貴景勝の廻しを掴んで、廻しが取れなければ腕を抱えるなり押っつけるなりして、体を寄せることだった。貴景勝も先場所の照ノ富士の勝負ビデオを見て研究していたのだろう。機先を制して押し込むことだけを心がていたような立合で、闇雲に押し込んだ。
 今日の敗戦の後遺症で両膝が痛み出したりしなければまだ巻き返しは出来る。明日の相手も押しの御嶽海である。今日と同じように猛スピードで押し込まれてしまうと仕方がないが、なんとか掴まえることが出来れば勝機はある。
 優勝候補筆頭の朝の山が相撲巧者の遠藤を相手に焦って自滅してしまったから、今場所は大混戦になりそうだ。初日の相撲だけでは優勝候補を予想することなどとても出来ないが、関脇正代がしっかりしてきたようである。もう一人は大関陥落後いいところの無かった高安が、己の愚かさを悟ったのか、巴富士を相手に慌てずじっくり相撲を取ったのに少し驚いた。自分十分になるまではじっくり落ち着くという相撲を取っていれば、番付は下位だから白星を積み重ね、ひょっとして「初優勝」ということになるかも知れない。

  贔屓力士あっさり負けて秋黴雨   酒呑洞水牛   (20.09.13.)
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2020年09月12日

俳句日記 (617)


 照ノ富士よ正念場だ

 相変わらずコロナウイルス感染者が出ている。次期首相の菅官房長官は地味な風貌とは裏腹な積極派のようで、コロナ禍の下でも経済振興に熱心で、あの天下の愚策とも言えるGoToキャンペーンの仕掛け人とも言われており、“コロナ規制”を解除して行く方向に舵を切りそうだ。コロナ籠もりにうんざりし始めた一般大衆もマスコミも、政府筋の流す「コロナは下火」という説を盛んに流すようになった。
 しかし、足下の東京都では相変わらず新規感染者が一日200人以上出ている。秋場所大相撲の開幕直前に玉ノ井部屋では一挙に19人もの感染者が出て、部屋丸ごと出場停止になった。
 そんな中で13日から秋場所が始まる。白鵬、鶴竜という、休んでは出て来るを繰り返しながら延命を図ってきたズルい横綱が二人とも初日から休場。大関二場所目で最高位の東大関に座った朝の山が「優勝」を口にし、西大関の貴景勝が昔の大関北天佑の娘と婚約してこれまた意気大いに上がっているようだ。
 しかし、何と言っても目玉は先場所幕尻で見事優勝して、前頭筆頭に上がって来た照ノ富士である。以前にも書いたことがあるが、照ノ富士は4年ほど前、日の出の勢いで大関に駆け登った時には傲岸不遜で、とても好きになれないタイプだったが、両膝の怪我や内蔵疾患で長期休場、序二段まで下がり、辛酸嘗め尽くして這い上がって来る過程で人間的にも成長した。「一つ一つ出来るだけのことをやっていれば、いいこともあるはずだ」と思ってやって来たら、この奇跡の返り咲きとなったのだと言う。
 照ノ富士の初日の相手は大関貴景勝。いきなり猛烈な勢いで突っ込んで来る貴景勝のようなタイプは、両膝が危なっかしいだけに、あまり得意ではない。しかし、これを何とか捌いて白星を得れば、今場所も優勝できるのではないかと思う。全ては初日。明日は俳句はそっちのけでテレビにかじりつこう。

  秋場所だどすこいコロナ飛んで行け  酒呑洞
(20.09.12.)
posted by 水牛 at 23:09| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月08日

俳句日記 (616)


番町喜楽会9月例会

 あらゆる句会がコロナ自粛で逼塞している中で、番町喜楽会だけが毎月一回の例会を開いている。千代田区が会議室利用を認めてくれているおかげである。お顔もそうだが、やること為すこと全てが厚化粧の百合子さんは、個人的にはあまり好きになれなかったのだが、「文化活動の場を提供します」との英断を下してくれたので、いっぺんに好きになった。「小池都知事ガンバレー」
 9月7日(月)午後6時、ようやく出かける場所が見つかって嬉しそうな14人が集まった。本日の兼題は「厄日」と「秋草」で投句は5句。欠席投句参加の7人分を加え、投句総数105句。選句は6句で句会を行った。
 今日は春陽子という化け物のような点取り虫が票を掻っ攫ったが、これも自民党総裁選と同じで、必ずしも「良いから選ばれた」と言い切ることは出来ない。句会の票もその時々の流れのようなものがあって、一方に流されることがある。実際、今夜は2点以下にも結構いい句があった。まあそれはともかく高点を得た句を掲げておこう。
「厄日」
爪切って身を軽くせし厄日かな    玉田春陽子(5点)
忘れ物今日は三つ目厄日かな     斉山 満智(4点)
水吸ふて厄日の砥石深き色      嵐田 双歩(3点)
打つ度に釘ひん曲がる厄日かな    玉田春陽子(3点)
古雨戸父と釘打つ厄日かな      中村 迷哲(3点)
二百十日復旧未だ千曲川       堤 てる夫(3点)
二百十日総理辞任の大嵐       前島 幻水(3点)
「秋草」
地方紙に秋草くるみ帰京せり     廣田 可升(6点)
秋草や買手のつかぬ一等地      玉田春陽子(4点)
秋草の彩り豊かままごと膳      須藤 光迷(3点)
歩荷行く尾瀬の秋草揺れにけり    嵐田 双歩(3点)
「当季雑詠」
それほどの期待もされず案山子立つ  玉田春陽子(7点)
海風の抜ける道なり青蜜柑      須藤 光迷(4点)
藤袴咲いた咲いたよ妻の声      堤 てる夫(3点)
小流れの底の罅割れ残暑光      須藤 光迷(3点)
這うようにたどり着きたる九月かな  斉山 満智(3点)
雲ひとつ無くてぎらぎら地蔵盆    大澤 水牛(3点)
 句会が終わればこういう御時節だから真面目な人は帰る。しかし素直に帰れない春陽子、可升、光迷、水牛に金田水、塩田命水の6人は、九段下の蕎麦屋「丸屋」に行く。丸屋のまんまるのおばさん、実に嬉しそうに迎えてくれる。何しろ店開けていたって客が来ないのだ。板わさ、もろきゅう、おろし蕎麦で〆張鶴の冷やを二杯三杯傾けて、大いに英気を養った。(20.09.07.)
posted by 水牛 at 00:46| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする