2019年04月26日

俳句日記 (483)


蕪村生誕地と興福寺吟行 (2)

なんと歌仙一巻

 毛馬堤を散策し、淀川が旧と新との二つの流れに分かれるところにある大きな閘門を打ち眺め、堤下に出来た蕪村公園で一休み。日経俳句会元会長で今はテレビ大坂の重役を務める高橋ヺブラダさんが前以て念入りに調べて下さった蕪村関連施設を順序よく辿った。そのヲブラダさんがシャンパンやビールを担いで来てくれて、公園のベンチで一行に振る舞って下さる。汗ばみ、乾いた身体に冷えた飲み物が心地良い。
 元気回復し、皆々、淀川神社の蕪村像に対面、毛馬橋を渡り、メトロ天神橋筋六丁目駅まで二`ばかりを歩いた。途中、日本橋駅で近鉄に乗り換え、午後四時過ぎに奈良駅に到着、猿沢池畔の旅館「飛鳥荘」に着いた。
 猿沢池畔には修学旅行の中高生を泊める団体旅館がいくつかある。七〇年前に私が泊まった魚佐旅館もそうだ。飛鳥荘というのも一泊二食一万四千円とずいぶん安いから、恐らくその手のものだろうと思っていたら、どうして中々の造りで、おかみさんはじめ従業員もちゃんとしている。部屋も立派だし、風呂も、夜の料理も上等だった。不思議だなと思っていたら、幹事の一人徳永木葉さんの知り合いが支配人で、大サービスをしてくれたのだという。
 温泉に浸かって疲れを流し、懇親夕食会では美味しい料理と支配人が贈ってくれた「春鹿」大吟醸はじめ奈良の銘酒を心ゆくまで楽しんだ。
 宴の果てて、「お先に」と引き取ったのはわずか二人。残り十八人がどっと幹事部屋になだれ込み二次会。平均年齢七〇ウン歳の団体とは到底信じられない。誰が言い出したのか定かで無いが「連句をやりましょう」ということになった。半分は「連句なんて初めて」と尻込みする人たちだったのだが、有無を言わせず始まった。しかし、そういう人たちも結構楽しみながら何と二時間ばかりで歌仙を巻き上げてしまった。式目を無視したものもありはするものの、素晴らしい歌仙が生まれた。

歌仙「淀川簡易トイレの巻」
淀川の簡易トイレや春の風      高井 百子
 凧揚げる子の伸びる右の手     堤 てる夫
のどかなる長堤句友労り合ひ     岡田 鷹洋
 歩きに歩き一万歩超え       植村 博明
豹柄の浪速のオバチャン夏の月    岩田 三代
 席をゆづらぬ老若男女       嵐田 双歩
(ウ)
秋の空春日大社の鎮座して      向井 ゆり
 柵無し危険霧の猿沢        工藤 静舟
恋ひとつ拾った朝の鹿の声      須藤 光迷
 煎餅売る婆につと笑へり      大澤 水牛
吾が女房阪神好きが玉にきず     廣田 可升
 吹雪に想ふ秋田象潟        玉田春陽子
大仏の見下ろしている霜の庭     中村 迷哲
 蕪村震へる淀の川風        中沢 豆乳
閘門に詩朗の笑顔春の雲       山口斗詩子
 シャンパンの泡月朧なり      大下 綾子
花散らしAKBの空騒ぎ        徳永 木葉
 毛馬橋渡る女子高生よ       澤井 二堂
(ナオ)
しゃぼん玉はじけはじけてお父さん     百子
 夜間中学春の灯火            鷹洋
うららかや水面の鳥の呆け顔        博明
 先人の句碑麦秋の色           三代
ふすま開けしとねの色に目が覚めて     双歩
 思ひ焦がれた恋の年とる         ゆり
気もそぞろ女将の去りて宿ゆかた      静舟
 チュッチュチュッチュと鬼灯を吹く    光迷
どうするの伸びる朝顔つるの先       水牛
 紅葉の錦下衆のまにまに         可升
落柿舎の中天にあり居待月         春陽子
 露天風呂から望む寺町          迷哲
(ナウ)
冬銀河恋文を焼く貫首さま         豆乳
 新聞記事に書けぬことあり        木葉
トランプの痩せる思ひの春口舌       鷹洋
 ノートルダムのあっと燃え尽き      博明
花浮かぶ大河二つに別れたり        双歩
 中金堂に集ふ旅人            静舟
                      (満尾)
posted by 水牛 at 18:33| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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