2019年05月10日

俳句日記 (486)


立夏の川風

 2019年のゴールデンウイークは平成から令和へと変わる橋渡しの時期になったために、例年とは全く様相を異にした。なにしろ天皇の生前退位というものを特別立法で認め、退位の式典、新天皇即位式と続いたから、当然のことながら世間の耳目はそこに集中した。こうした行事をこなすために、黄金週間中にとびとびにある平日を祝日にしてしまったから、何と破天荒の10連休ということになった。この間も世界は目まぐるしく動いている。ぶっ続けに10日も休んでしまっては、国際政治やビジネスの世界でいろいろな支障が起こったに違いないのだが、そういった咎めは直ぐには現れないし、政府は自分たちの決めたことに誤りのあろうはずは無いとふんぞり返っているから、マスコミも何も言わないし、ぬるま湯に浸かっているT億2千万国民はぼんやりしたままである。
 偉そうなことを言っている酒呑洞老人だが、もとより何もすることの無い毎日だから、10連休だろうが、とびとび休みだろうが関係無く、「やはり純米吟醸より純米酒の方が酒らしくていいな」なんてつぶやきながら、新しい一升瓶を空けているだけである。
 そんな10連休の最後の日、5月6日は月曜日。本来なら第一月曜日は番町喜楽会という面白い句会の日なのだが、振替休日になってしまったために定例会場が休館で、句会が開けないという。がっかりしていたら会員の可升さんが、「良かったら私が東京の足場にしているマンションを使って下さい」と言ってくれた。都営新宿線東大島駅のそばで、旧中川、荒川、小名木川が流れ、江戸時代の船番所跡には資料館があり、そこを見学してから川沿いの遊歩道を吟行しましょう。というわけで、素晴らしい吟行句会が実現した。
 6日午前十時、川の上にある東大島駅大島口に15名が集合、まずは江戸の水運の玄関口に置かれた関所、中川船番所跡に出来た資料館を訪問、キュレーターから当時の江戸湾、荒川、中川、そして隅田川に繋がる小名木川の様子などを聞いた。その後は川の駅で水陸両用バス「スカイダック」が水しぶきを上げて川に飛び込む情景を見物、小松川公園を経由して旧中川沿いを群れ咲く晩春初夏の野の草花を愛でつつ吟行した。凡そ1万歩強の散策後、廣田可升亭で昼食、句会を始めた。席題「立夏」と「橋」および雑詠の3句を投句、選句5句で句会を行った結果、双歩さんの「大橋を三つ並べて夏の川」、木葉さんの「水陸車上がるしぶきも夏の入り」、水兎さんの「野の花を摘んで立夏の川の道」の3句が5点でトップに輝いた。この他にも「逆上る立夏の潮や小名木川 而云」「初夏のふれあい橋でおり返す 百子」「川またぐ駅は五月の川の駅 白山」など、面白い句がずぶんあった。水牛句は、
葉ざくらのさくら大橋渡りけり
薫風や江東江戸川くまたがり
大盃といふつつじ咲く船番所
 と、我ながらおざなりな三句を並べたものである。一行のてる夫さんが滋賀の銘酒「松の司」と美味い米焼酎「鳥飼」を持って来てくれたのを一人占めするように吞み、さらには可升邸にあった「久保田」その他を平らげて、席題の「立夏」を忘れて「薫風」の句を出してしまうといった塩梅。さはさりながら、すこぶる楽しい吟行句会だった。
posted by 水牛 at 22:55| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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