2019年11月25日

俳句日記 (552)


シラケた九州場所

 昨24日、横綱白鵬が14勝1敗で43回目の優勝を果たし、九州場所が終わった。相方の横綱鶴竜が初日から休場、大関豪栄道、高安、関脇栃ノ心も調子が悪くてさっさと途中休場、前頭の友風、逸ノ城、若隆景も休場と、何と7人が休んでしまう、本場所とは思えない場所になった。
 何と言ってもここ数年、非常に休場が多くなった。白鵬なぞは「前人未踏の優勝43回」などとふんぞり返り、NHKも新聞もしきりに持ち上げているが、出ては休むの繰り返しで、年6場所のうちの半分しか出ていない。横綱はいくら休もうが番付は下がらないから、白鵬のように体調万全な場所だけ出るのなら勝つのは当たり前だ。もともと実力は角界随一である。他の力士は体調に問題があっても、休めば番付が下がるから、無理しても出て来る。体調万全の白鵬に勝てるはずは無いのである。
 優勝後のインタビューで白鵬は「50回優勝したい」とほざいたらしい。もともと、東京オリンピックのイベントで全世界の観客を前に横綱土俵入りを見せるのが夢らしく、それまでは何とか延命したいというハラなのではなかろうか。それまでは決して無理せず、ちょっと調子がおかしければ休場してしまうという、横綱特権を最大限生かした戦法である。
 大関豪栄道も早くからこの戦法を取り入れているような感じがする。大関は二場所連続負け越しで陥落する。しかし、一場所は楽が出来る。だから、勝ち越せそうもないと悟るとさっさと休んでしまい、巡業もさぼり、英気を養って次の場所に出て来て勝ち越す。こうすればいつまでも大関の座を守れる。近ごろはライバル大関の高安がこれを真似し始めた。強い大関がいると相撲は俄然面白くなるのだが、最近はこうして出ては休みの両大関なので、場所が締まらなくなってしまった。
 こうした大相撲の不様なる様相をあからさまにしたのが、「年間最多勝」賞。小結の朝乃山が獲得したが、なんと僅か55勝である。年6場所で15日間だから取組は90回。そのうち55回勝つのは偉いと言えば言えるが、勝率6割そこそこで年間最多勝というのは寂しい。勿論史上最低の記録である。こんなことになってしまったのは、白鵬、鶴竜の両横綱はじめ大関陣が全く不甲斐なく、すぐに休んでしまったせいだ。
 どうしてこんなことになってしまったのか。これは前々から言っているように年6場所というのが多すぎるのだ。その上に最近の相撲人気の盛り上がりにいい気になった相撲協会が、年間80日も90日も地方巡業場所を開く。本場所の90日と巡業場所とを合わせると、一年の半分は土俵に上がっていることになる。これに地方巡業のための移動日を加えれば、力士はほとんど休み無く働いていることになる。これでは怪我もするし病気になるのも出るだろう。そして、すぐ次の場所が巡って来るのだ。
 昔と違って今は電波映像技術が進歩発達しているから、力を抜いたり、勝負を譲ったりしたら、素人目にもすぐに分かってしまう。私が毎場所欠かさず通っていた戦後間もなくから昭和40年代までは、千秋楽で既に勝ち越している力士が7勝7敗の力士と対戦すれば、必ず、上手に負けてやっていた。目の越えた相撲フアンはそれを分かった上で、「勝たせ方が上手い」なんて言っていた。相撲には元来、そういう大らかな雰囲気があった。さりとて他の新参の格闘技のように最初からシナリオが出来ているわけではない。真剣勝負ではありながら、実も花もあるというのが相撲の良さだった。しかし、最近はそんな悠長は許されない。ちょっとでも気を抜いた相撲を取れば「無気力相撲」と指弾される。
 全力でぶつかり合う、いわゆる「ガチンコ相撲」は見ていて気持がいい。しかし、力士も職業人だから少しでも長く無事に相撲を取りたいと思うのが人情だ。白鵬が一場所出ては次は休むというのも延命策の一つだ。しかし、関脇以下の力士は休むわけにはいかない。「無気力」と指弾されずに、怪我なく相撲を取るにはどうすればいいか。「押しに徹する」ことである。突いて、相手の筈や腹、胸に掌を宛がって土俵の外に押し出すのである。四ツに組み合って技を掛け合い、投げ合うのは怪我の元だから極力避けるのだ。この数場所を見ていると、「押し出し」「突き出し」が非常に目立つようになっている。これがまた、相撲をつまらなくしている。
 何はともあれ令和元年の大相撲は幕を閉じた。来年初場所は朝乃山がもっとしっかりして大関の道を歩み出してくれることと、大関から序二段にまで落ちた照ノ富士がいよいよ十両に戻ってくることが楽しみだ。
   うかうかと鍋に酔い痴れ博多場所    酒呑洞
posted by 水牛 at 22:15| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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